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2005.10.18

揚輝荘で、お月見。

また、今日も雨。
十五夜も、十三夜も、雨が降っていました。

でも、揚輝荘に出かけた、その夜だけは、
不思議に晴れあがって、
月を愛でるために設けられた揚輝荘の出窓で、
まあるい、一四夜のお月さまを見ました。

日没。翳りはじめたモノトーンの月見坂。
雲間に姿を見せはじめた月は、
おきになっていた炭が、なにかの弾みで、
一瞬燃えあがったような、紅色。
天から般若に、魅入られているような気もして、
目を伏せ、耳を覆って、その気配をやりすごしました。

やがて、天空に高く高く登った月は、
深い海の底とつながっているような、隠微な蒼。
透き通った白くて蒼い光を放ちながら、
気を許した者の、心の奥底まで、覗き込んできます。

「月狂い」
そんな言葉を思い出しながら、
紅い月、蒼い月に見とれていました。
浮遊してしまいそうな心を、つなぎ止めておくために、
からだを出窓にあずけて、踏ん張らなければなりませんでした。

こんな、妖しい美しさのお月さまに出逢える日も、あとわずか。
建設中のマンションが完成すれば、視界が遮られて、
心を惑わすような紅い月も、蒼い月も、
揚輝荘には、二度と戻ってこないというのです。

百年以上続いた、揚輝荘の観月会も、今年で最後。
流れる雲に隠れていった月を惜しみながら、
「月狂い」してみるのもいいと、思いました。

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